おじさんおばさんのキャリア開発③

おじさんおばさんのキャリア開発で、ポイントになるのが外発的動機と内発的動機です。
 
外発的動機とは、外から与えられるもの。例えば、人事評価はその代表です。誰かから(組織においてはマネジャーから)、一定期間の働きを評価されます。その結果、報酬額が変わったり、仕事内容が変わったり、役割、ポジション、肩書きが変わったりします。
人は、その評価を上げるために、仕事を頑張ります。
 
かたや内発的動機は、自分の内側にあるものですね。やりたい!とか、これを実現したい!とか、こうありたい!とか、こんな価値観を大事にしたい!とか。誰に評価されるわけでもなく、自分自身で決める、認識するものです。
 
なぜ、外発的動機と内発的動機が、ポイントなのか?
そもそも、キャリア開発において、動機は重要なポイントなのですが、おじさんおばさんにとっては、とっても重要なのです。
 
60歳の定年で、再雇用になったり、役職定年で立場が変わったりすることで、おじさんおばさんはやる気を失い、モチベーションが下がります(下がると言われています)。働く動機がなくなる、薄くなってしまうわけです。
なぜ、役職定年や定年再雇用で、モチベーションが下がるのか?
それは、外発的動機がなくなる、もしくは少なくなってしまうからです。
 
ポジション、肩書がなくなり、報酬が下がったりします。今までは、マネジャーとして、皆から敬われていた(少なくとも本人はそう感じていた)のに、急にただのおじさんおばさんになってしまいます。いままでは手にしていたさまざまなモノ(ポジション、肩書、報酬、権限など)を取り上げられていしまうのです。これは、外発的動機がなくなってしまったということ。
ポジションも肩書も報酬も、組織から与えられたもの。仕事を頑張って結果を出してきたから、自分で手にしてきた、自分自身のモノのように感じていますが、そんなことはありません。組織から、あてがわれていただけです。それを、取り上げられ、どうしたらいいかわからなくなってしまい、モチベーションが下がってしまうのです。
 
役職定年、定年再雇用以降、内発的動機を見い出さないと、仕事へのモチベーションは沸きません。自分は何のためにこの仕事をやっているのか、この組織にいるのか、わからないまま仕事をしていくことはツラいことです。でも、内発的動機はだれも与えてくれません。教えてもくれません。自分の内側にあるものなので、自分で見つけるしか、もしくは作るしかないのです。
 
おじさんおばさんは、外発的動機から内発的動機にシフトチェンジすることが必要なのです。でも、組織の要求に従順に従い、真面目に仕事をしてきた人ほど、外発的動機で働くことに慣れてしまっているのです。もともとあった内発的動機を押さえつけ、外発的動機を糧に仕事をしてきたのではないでしょうか。
 
無理もありません。我々は、小学生の頃から、外発的動機で動くことを教育されてきたのです。親の言うことを聞きなさい。先生の言うことを聞きなさいと言われ続けてきました。テストの点数で評価され、偏差値で大学が決まります。会社に入社すればなおさらです。半期ごとの人事評価で査定され、報酬、肩書が決まります。外発的動機で動くことが当たり前になってしまっているのです。
 
会社の中で楽しく仕事が出来ている人は、内発的動機で働いているのでしょう。外発的動機と内発的動機のバランスをうまくとっているのかも知れません。
 
おじさんおばさんのキャリア開発では、埋もれてしまっている、働くことへの内発的動機をもう一度掘り起こさなくてはなりません。でも、考え方によっては、おじさんおばさんの仕事こそ、楽しくできるのかも知れません。これからの人生を、内発的動機をベースに楽しくやりがいや価値観を満たして仕事ができる可能性があるのですから。
 
では、どうやって内発的動機を見つけていくのでしょう?
それは、また次回。